先日、「伊藤忠商事、住友商事及びグーグルが米国で世界最大級の風力発電事業に参画」というニュースがありました。「米国オレゴン州において、世界最大級となる845MWのシェファード・フラット風力発電事業に出資参画」「電力は、カリフォルニアの電力会社であるサザン・カリフォルニア・エディソン社に、20年間の売電契約に基づいて供給される。同社は、この電力供給を、カリフォルニア州が電力事業者に一定割合での再生可能エネルギーの使用を義務付けたRPS法における目標達成に活用する。」とのことです。http://www.kankyo-business.jp/news2011/20110419c.html
オレゴン州での風力事業なのに、カリフォルニア州のRPS法の目標達成に使われるの?と、疑問に思われた方も多いことでしょう。ここでは、カリフォルニアのRPSについて、少しご紹介したいと思います。
カリフォルニア州のRPS (Renewable Standard Portfolio)は、2020年までに電力会社が電力小売売上高の33%を再生可能エネルギーによって賄うことを義務付けるものです。米国の他州のRPSと比べても最も高い目標となっています。ここでいう再生可能エネルギーとは、太陽熱発電、太陽光発電、バイオマス発電、地熱発電、海洋発電、再生可能な燃料を用いる燃料電池などです。
これは、最終的にカリフォルニアにて消費される電力の33%を再生可能エネルギー由来のものにするということであり、割合の制限はあるものの、州外で発電されてカリフォルニア州にて消費される再生可能エネルギーも33%の中に含まれます。
更に、電力会社が再生可能エネルギーを購入する際、「再生可能エネルギークレジット(REC)」を購入することも認められています(2013年までは年25%以内、2016年までは年15%以内、その後は10%以内)。実際の電力を購入せずとも、再生可能エネルギーであるということの 環境価値をクレジットとして購入することが可能なのです。このことは今後、アメリカ西部 (Western Region)にて再生可能エネルギー関連のプロジェクトが増えるインセンティブとして働きます。
以前、こちらのブログ「カリフォルニア州のキャップ&トレード最新動向①」にてご紹介したように、カリフォルニア州はキャップアンドトレード制度導入に向けて法規制づくりを進めています。RPSにて取引される再生可能エネルギークレジットと、キャップアンドトレード制度がどのように相互作用していくことになるのかは、今後の焦点の一つになります。
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