2020年12月16日水曜日

COVID19で2020年は二酸化炭素排出量が記録的に減少

12月11日に GCP (Global Carbon project)が出した最新の論文によると、COVID19の影響で2020年には世界の化石燃料由来のCO2排出量が24億トン減少し全体で約34 Gtとなり、2019年に比べて7パーセントの減少となったそうです。


この減少量は、世界の道路から500万台の自動車を削減したのと同等量とのことです。排出量の減少は特に交通分野で顕著で、道路交通と航空交通分野での排出量は、世界全体で2019年と比較してそれぞれ約10%、40%の減少。また、ロックダウンのピーク時には自動車の走行を含む地上交通からの排出量は、約半分に減少しました。


このベイエリアでも、3月にロックダウンが始まってからはそれまでの朝・夕方の交通ラッシュが嘘のように、高速道路が空いています。1日中渋滞していることで有名だったロサンゼルス市も、ロックダウン中は車が著しく減少しているそうです。


排出量の減少が顕著だったのは米国(12%減)とEU27カ国(11%減)。一方、中国では1.7%の減少に留まったとのこと。またイギリスでは13%減少、インドでは9%の減少が見込まれています。


ちょうど米国では来年からバイデン大統領が就任、そして欧州でのグリーンニューディールや市のレベルでのグリーン・ニューディールの広がりもあることから、COVID-19からの経済回復と共に、引き続き排出量の削減、が多くの地域で目指されることになるでしょう。

2020年11月25日水曜日

ロサンゼルス市のグリーンニューディールとスマートシティ・ネットワーク

 先日、スタンフォード大学主催のエネルギーセミナーで、ロサンゼルス市のグリーンニューディールについての話がありました。興味深い内容でしたので、簡単に内容を纏めておきます。


ロサンゼルス市は電力、ビル、交通、廃棄物、水の5つの分野で積極的な目標を定めています。2045年までに電力を100%再生可能エネルギーに、そして2050年までに全てのビルでNet-zero Carbonを実現&市内の車の全てをZero Emission Vehicleに、と非常にアグレッシブな目標を掲げています。


また、これらの目標の実現を通じて、2035年までに30万の雇用、2050年までに40万の雇用を生み出すとしています。


以前から力を入れている港のグリーン化にも引き続き力を入れていく予定で、トラクターやトラックの電動化を進めていきます。


特に面白いと思ったのは、アメリカや世界においてグリーン政策を推し進める市長ネットワークの存在です。「Climate Mayors」というネットワークでは米国の48の州から468の市長が参加していて情報共有をしており、また、「C40 Cities」には世界の97の大都市が参加して、グローバルなグリーンニューディールに向けた議論・取り組みを行なっているとのことです。


スマートシティを推進する市がネットワークを構築し、良い活動を他の市も取り入れていくことで、取り組みが世界に広がっていく。その動きは今後、益々加速していきそうです。

2020年8月5日水曜日

TeslaとPG&E、世界最大級のエネルギー貯蔵システムの建設を開始

カリフォルニア州の大手電力会社Pacific Gas and Electric Co. (PG&E)とテスラ社は、カリフォルニア州モントレー郡にあるMoss LandingのPG&Eの変電所にて、大規模なリチウムイオン電池貯蔵システム(BESS)の建設を開始しています。容量は182.5MW/730MWhで、現在オーストラリアで稼働している世界最大の蓄電システム(150MW/193.5MWh)を上回ります。

設計、建設、保守はPG&Eとテスラが担当し、建設終了後はPG&Eが所有し、運用することになっています。2021年の第2四半期にシステムが完全に稼働する予定で、20年の稼働期間の間に1億ドル以上のコストが削減できる見込み。CAISOのエナジー市場とアンシラリーサービス市場にも参画予定とのことです。

今年5月、PG&Eは、2023年までにサービスエリア全体に展開される合計1,000MW以上のバッテリー・エネルギー貯蔵プロジェクトの追加契約に署名しました。その中で最大のものは、同じくMoss Landingに設置される送電接続型の300MWのBESSで、容量は1.2GWhとなる見込みです。

(本件はPGEによる所有・運用案件ですが)一般的に、電力会社向けのエネルギー貯蔵設備は、蓄電システムのベンダーにとってはオペレーションコストが低コストで済み、長期的な契約が多いという魅力があります。電力会社への蓄電購入義務も追い風となり、電力会社向けのエネルギー貯蔵設備は、引き続き蓄電システム市場を牽引していくことになるでしょう。

関連ニュース
https://www.cpexecutive.com/post/pge-tesla-kick-off-behemoth-battery-energy-storage-system/







2020年8月4日火曜日

カリフォルニア州、2045年にはゼロ・エミッション・トラック以外の販売を禁止へ

2020年6月25日に採択されたカリフォルニア州大気資源局(CARB)の新規制では、商用トラックメーカーは2024年にゼロ・エミッション・トラックの販売を開始し、2045年までにカリフォルニア州での販売を100%ゼロ・エミッション・トラックとすることが義務付けられました。

この規制により、カリフォルニア州では2030年までに10万台、2035年までに30万台のゼロ・エミッション・トラックが導入される見込みです。

この動きはカリフォルニアだけに留まりません。カリフォルニアでの新規制の決定を受け、カリフォルニア州を含む米国15州とコロンビア特別区のグループは、中・大型電気自動車の市場を拡大し、2050年までにディーゼルエンジンのトラックを段階的に廃止することを目的とした共同覚書を発表しました。

トラックは車の中で最も大気汚染に影響を与えるため、商用フリートの電動化・ゼロエミッション化は以前からよく議論されており、様々な動きがあります。これからも動きを注視していく予定です。

関連ニュース
https://www.greencarreports.com/news/1128652_california-mandate-electric-trucks-all-ev-by-2045#:~:text=Adopted%20Thursday%2C%20the%20Advanced%20Clean,trucks%20in%20California%20by%202045.

https://cleantechnica.com/2020/07/04/zero-emissions-trucks-are-the-future-lets-do-this/

https://www.reuters.com/article/us-autos-emissions-trucks/15-u-s-states-to-jointly-work-to-advance-electric-heavy-duty-trucks-idUSKCN24F1EC

https://finance.yahoo.com/news/happens-california-doesnt-stay-california-174044489.html

2020年7月24日金曜日

COVID19の影響で活用が進むデリバリーロボット

グーグルの本社があるマウンテンビュー市。シリコンバレーの中心とも言えるマウンテンビュー市のダウンタウンでは、以前からロボットや変わった乗り物をよく見かけますが、最近は特に、デリバリーロボットの活用が進んています。

コロナウイルスによるShelter-in-placeが始まって少し経った4月中旬頃から、マウンテンビューダウンタウン付近では、自動運転によるデリバリーロボットが複数台稼働している状況が普通に見られるようになりました。初めこそ珍しくて、写真やビデオを撮っている人が多くいたものの、今はもう住人は見慣れてしまい、ロボットがいる光景はごく普通のことなっています。


試しにアプリをダウンロードしてチェックしてみたところ、約3ドルの宅配費用に加え、商品には通常価格の20%くらいが上乗せされていました。宅配サービスの大手スタートアップ、Instacartと同じ手法です。購入金額の20パーセント増しになることを考えるとそれほど安くはないですが、歩行や荷物の運搬が困難な高齢者の方には、便利なオプションと言えるでしょう。ちなみに、このロボットは話すこともできます。「Hi! I'm Starship, delivery robot!と挨拶して来たことがありました。また、父の日には「Happy Fathers Day!」と話すキャンペーンを行なっていました。

また、宅配ロボットとは別に、自動運転(あるいは自動運転を見越した遠隔操作?)で動いている無人スクーターも4台ほど見かけました。COVID19の影響で外出する人が少なくなっているうちに、様々なロボットの試験や実用化が進みそうです。